Q13 サラリーマンを辞め、長年の夢だった独立を果たし会社を設立して事業を始めました。しかし、会社の設立登記が思うように進まず、予定よりも1月程遅れたため設立前に個人としての売上や経費が発生してしまいました。会社を設立している時の売上や経費ですので、会社の売上や経費になると思うのですが、この場合個人事業主としての申告になるのでしょうか?
A13 従来から個人事業を営んできた人が法人成りした場合でなければ、会社の設立準備期間中に生じた売上や経費は、個人の売上や経費とする必要はありません。会社の1期目の売上や経費に含めることができます。
法人税法上は、まだ設立準備中における売上や経費といった取引を、会社と区分して申告すると言うことは手数がかかり、一般的に考えてこの時期の取引き金額はさほど大きくはないので、設立期間が通常要する期間を超えて長期にわたる場合や個人企業からの法人成りの場合以外は、会社がこの設立登記前の売上や経費といった損益を設立第1期の事業年度の損益に含めて申告した時にはこれを認めるとしています。
「設立期間がその設立に通常要する期間」とは、一般的に1ヶ月以内と解釈されています。したがってそれ以上長期にわたって売上や経費として申告すると認められない場合がありますので注意してください。
Q12 手元にお金がなくてつい、会社のお金で支払ってしまいました。友人に聞いたところ、会社のお金を社長の個人的な支払いに使うことは許されないと言われましたが、どのように取り扱われるのでしょうか?
A12 社長が自分の会社のお金、たとえば預金口座から個人的な支払をしてしまうと、その支払は役員に対する貸付金または役員に対する賞与と取り扱われます。
<役員貸付金として処理する場合>
社長が個人的な支払いをした金額を、会社は役員貸付金として処理すます。この役員貸付金は税務上、利息が発生します。したがって社長は会社に法定金利を支払うことになるのです。
もし利息が支払われてない場ことが、税務調査で判明した場合は、受取利息の認定を受けます。
<役員に対する賞与と取り扱われる場合>
法人税法上、役員賞与は損金になりません。
したがって、所得に加算されることになり法人税が増加し、一方社長の所得税の計算では役員給与として所得税の課税対象になってしまいます。
このように、不利な扱いを受ける恐れがありますので、会社資金から個人的な支払いすることは極力避けたいものです。
会社は、日々現金出納帳を付け、会社のお金と、社長個人のお金を区別しておくことが大切です。
Q10 震災の影響により、当組合に加入している組合員の多数が事業用資産に損失を受けました。そこで、震災の影響を受けなかった組合員から特別会費を徴収し、被災組合員に対して支援金を支給することとなりました。
この震災の影響を受けていない組合員が組合に対して支払う特別会費は全額損金算入することはできますか?
A10 特別会費を全額損金算入できるかどうかはその特別会費が規約等に基づいて合理的な基準により徴収され、給付等されるかどうかによります。規約等に基づき合理的な基準によって徴収されたのであれば、全額損金に計上することができます。
通常の会費は組合員が同業団体等に支払った日の属する事業年度の損金に算入されます。
しかし、会員相互の扶助等を目的とした特別会費は、その支払った時には前払費用として処理しておき、実際にその組合等がその徴収の目的となる事業に対して支出した日の属する事業年度の損金に計上します。
ただし、その特別会費の徴収目的が災害を受けた組合員への見舞金等の場で、その特別会費が合理的な基準に基づいて徴収され、給付等されるのであれば、支払った日の属する事業年度の損金に計上することができます。
Q11 当社は毎月の給与から徴収している健康保険料や厚生年金保険料を翌月になってから納付しています。通常はこれらの保険料は納付した日に費用として計上しています。
当社の決算月は12月ですが、翌期である1月納付予定の保険料を当期の損金として計上してもよいでしょうか?
A11 これらの保険料は、その計算の対象となった月の損金に計上することができます。よって、1月納付予定の保険料のうち会社負担分を決算月である12月に損金として計上することができます。
健康保険料や厚生年金保険料の会社負担分については、その月の給与にかかるこれらの保険料をまだその月の末日においては実際には納付していませんが、決算月の場合には未払経理により損金に計上することにより、その月の損金として計上することができます。
Q9 当社が前期に行った商品の販売に関して、当期になってから一部不良品があったことが判明し、取引先と話し合った結果販売代金の値引きをすることになりました。
商品の販売に関する収益は既に前期に計上済みですが、この値引きについても前期に遡って前期の損失として処理すべきですか?
A9 今回の値引きに関しては、当期の損失として処理します。
過年度において資産の販売により生じた収益の額を法人税法上の益金の額に算入した場合に、当期になってからその資産の販売に関して損益の修正があっても、その修正については原則として当期の損失として処理します。
法人税法は、法人の事業は継続して行われていることを前提としています。過年度に行われた取引の値引きや返品、契約の解除等が行われた場合、その取引に係る損益の修正についてはその修正することが確定した日の属する事業年度に損益の修正を行うのが原則的な取り扱いです。
ただし、過去に遡って課税所得を修正することが認められる場合もあります。
Q8 業績が好調で執行役員の報酬を増額しました。前期は創業50周年目になることで、記念増額配当を行いました。
しかし、急激な円高から多額の損失が発生し、期中昇給分報酬と記念増額配当分は、支給しないとの決定が臨時株主総会でされました。
支給しない報酬と配当金の取扱いは、どうなるでしょうか。
A8 期中に業績好調により増額した報酬部分の金額については、益金に算入しないことができます。しかし配当金にはこのような特例がありません。
支払報酬を支給しない場合、債務免除益として益金に算入することになりますが、定期同額給与等以外の給与として損金算入されない場合は、益金不算入でよいことになります。
しかし、配当金については特例規定はありませんので、債務免除益として益金に算入します。
Q6 値上がりを期待して購入した上場株式の時価が、期待に反して値下がりし、決算時には購入価額の40%まで下落してしまいました。当面価額の回復は見込めないと思います。
この株式は、法人税法上どのように処理すればよいでしょうか?
A6 帳簿価額と時価との差額を会計上、損失として経理することにより、法人税法上もその金額をその事業年度の損金に計上することができます。
原則的には、法人税法では、低価法を選択している場合にのみ期末時点の簿価と時価との差額相当額を評価損として計上することができます。ただ、翌期には同額を洗替えにより、取得時の価額に戻すこととなります。
しかし、時価が購入価額の50%相当額以下に下落し、かつ、その価額の回復が見込まれない場合には、期末に計上した評価損の金額を翌期に取得時の価額に戻す必要はありません。
Q7 当社の社員食堂では、基本的に当社の従業員が調理して料理を販売しています。今後、一部を外部の業者から購入し、それを提供しようと思っています。
現在社員食堂の食事代の販売価額設定について見直しを考えていますが、税務上はどのように考えればよいでしょうか?
A7 調理して料理を販売する場合には、その食事の材料等の直接費の合計額で評価をし、購入して提供する場合にはその購入価額で評価します。
調理する場合には、調理を行う人達の人件費もかかっていますが、人件費、設備費等を考慮する必要は無く、直接費のみで評価することとなります。
なお、評価額を下回る金額での販売を行った場合には差額分は使用人に対する経済的利益の供与をしているものと考えられますので、使用人に対して所得税の課税がおこなわれます。ただし、使用人が食事代として負担する金額が月額3,500円以下の金額であればその経済的利益はないものとすることができます。
Q5 当マンションの管理組合は、区分所有者が所有している敷地の一部を月極駐車場として区分所有者に貸付けており、管理費と一緒に徴収しています。この駐車場収入は修繕積立金として積み立てていますが、収益事業に該当しますか?
A5 区分所有者にのみ貸し付けている場合の駐車場収入は収益事業に該当しません。
マンション等の管理組合は、公益法人とみなして法人税法等の規定が適用されます。
また、法人税法には駐車場業は収益事業に該当する旨の規定があります。ただし、区分所有者にのみ貸付けている場合は、管理組合の構成員の共済事業として行われていることや、その収益が修繕積立金として積み立てられ構成員に分配されていないことから、この駐車場収入は駐車場を使用していることによる管理費の割増金と考えられます。よって収益事業には該当しないものとされます。
Q4 当社は青色申告書により確定申告書を提出することの承認を受けている法人です。帳簿書類の作成とその保存が必要かと思いますが、何年間保存しておけばよいでしょうか?
A4 青色申告の承認を受けている場合、その根拠となる帳簿書類や決算に関して作成された書類やその取引に関して相手方から受け取った請求書等の書類は会社のその事業年度の確定申告書の提出期限から7年間これを納税地等の事務所に保存する必要があります。
帳簿書類の保存方法は紙による保存が原則となりますが、保存期間の最後の2年間にあたる6年目及び7年目の帳簿書類は一定の要件を満たすマイクロフィルムにより保存することができます。
また、事前に所轄税務署長の承認を受けた場合には、一定の要件を満たせば帳簿書類等を紙により保存しなくても構いません。具体的には、サーバ・DVD・CD等に記録した電子データのままでその帳簿書類等を保存することができます。
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