法人税節税

法人税節税

中小企業倒産防止共済を利用した利益調整封じ?

2023-12-29

12月14日に公表された与党の「令和6年度税制改正大綱」には、「倒産防止共済の損金算入」に関する改正が含まれています。

• 中小企業倒産防止共済契約の解除があった後
• 再契約を締結した場合
• その解除の日から
• 同日以後2年を経過する日までの間に
• 支出する掛金は
• 本特例の適用ができない
• 所得税も同様

例えば倒産防止共済を解約して満額の800万円の入金があっても、同一年度内に再加入して240万円を前納すれば差額「560万円」(=800万円-240万円)が利益になります。

今回の改正により、解約日から「2年間」は損金算入できないため、解約した年度に800万円の利益に課税されます。

この改正は「令和6年10月1日以後の共済契約の解除」から適用されます。

定額減税の所得制限は「令和何年」の所得で判定するのか?

2023-12-28

12月14日に公表された与党の「令和6年度税制改正大綱」には、「所得税・個人住民税の定額減税」に関する改正が含まれています。

定額減税で最後までもめたのは「所得制限」の有無でした。

当初は所得制限を設けない方針でしたが、家計に余裕のある富裕層を除く趣旨から、「合計所得金額1,805万円以下」に限定されました。

これは「年収2,000万円」の給与所得者が、給与所得控除の195万円を控除すると1,805万円になるためで、所得制限の中では非常に中途半端なものとなっています。

※住宅ローン控除などでは合計所得金額「2,000万円」以下
※所得金額調整控除の対象(15万円の控除が加算)となる場合は、「年収2,015万円」がボーダーライン

「年収2,000万円」を設定した理由としては、
(1) 年末調整の対象外だと源泉徴収・年末調整の流れに乗せにくい
(2) 国会議員の年収が2,000万円超で対象から除外できる
といった理由があると考えられます。

さて、この所得制限は「令和何年」の所得で判定するのでしょうか?

• 所得税:「令和6年分」の所得(令和6年分の所得税額から控除)
• 住民税:「令和5年分」の所得(令和6年度分の所得割の額から控除)

多くの人は気にする必要はないと思われますが、実は所得税と住民税で異なります。

交際費課税|飲食費の1万円基準は4月1日から支出に注意

2023-12-27

12月14日に公表された与党の「令和6年度税制改正大綱」には、「交際費等の損金不算入制度」に関する改正が含まれています。

ニュースでも話題になっていましたが、今までの5千円基準が「1万円基準」に引き上げられることになりました。

これ自体は周知のことですが、適用時期は大綱に「令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用する」とあります。

交際費課税は「事業年度単位」のため、3月決算法人は特に問題ありません。

一方、3月決算「以外」の法人は、同じ事業年度の中に「5千円基準」と「1万円基準」が混在するのでご注意ください。

また、この改正にあわせて経費精算に関するルール・規程の見直しをするよう、顧問先に提案されるとよろしいかと考えます。

中小企業は年800万円の損金算入特例があるためあまり関係ないかもしれませんが、飲食店の中には5千円基準ができたときに「5,000円メニュー」を作ったところもありました。こちらも金額の見直しが必要かもしれません。

令和6年度税制改正大綱が公表

2023-12-26

令和6年度税制改正大綱が公表

12月14日、与党の「令和6年度税制改正大綱」が公表されました。
主な改正項目は次のとおりです。

<個人所得税>

◆定額減税
• 対象者:本人、同一生計配偶者、扶養親族
• 所得制限:合計所得金額1,805万円超(給与年収2,000万円超)は対象外
• 減税額:1人当たり4万円(所得税3万円、住民税1万円)
• 減税方法:給与所得者、公的年金所得者、事業所得者等ごとに異なる

◆スタートアップ関連税制
• ストックオプション税制
• 保管委託要件を緩和
• 権利行使価額を最大年3,600万円に
• エンジェル税制P33~34
• 新株予約権の払込み金額の追加

◆子育て支援に関する政策税制
• 対象者:夫婦いずれかが40歳未満の世帯または19歳未満の子を有する世帯

①住宅ローン減税の借入限度額の現状維持
令和6年分:認定住宅5,000万円、ZEH,4500万円、
省エネ4,000万円
②住宅リフォーム減税
子育てのためのリフォームを追加(最大控除額25万円)
※令和6年4月1日~12月31日居住分
※その他の子育て支援に関する政策税制は方向性だけ示し、令和7年度改正へ結論を先送り

【未確定①】高校生の扶養控除の縮小
所得税:25万円(現行:38万円)
住民税:12万円(現行:33万円)
適用時期:令和8年分以降を想定
【未確定②】ひとり親控除
所得税:38万円(現行:35万円)
住民税:33万円(現行:30万円)
所得制限:合計所得金額1,000以下(現行:500万円以下)
適用時期:令和8年分以降を想定
【未確定③】生命保険料控除
一般枠:23歳未満の扶養親族を有する場合、6万円
(現行:4万円)
※合計摘要限度額計12万円は変更しない
「一時払生命保険」を控除の対象外に
【未確定④⑤】
令和7年分の住宅ローン控除、住宅リフォーム減税
今回は令和6年分のみ先行して実施し、令和7年分は改めて議論

◆居住用財産の買換え等に係る特例措置等
• 2年延長

<資産税>

◆土地に係る固定資産税の負担調整措置
• 3年延長(現行の負担調整措置の仕組みは継続)

◆住宅取得資金贈与の贈与税非課税制度P49~50
• 3年延長
• 非課税限度額の上乗せ措置の住宅要件を見直し
※相続時精算課税制度の特例も同様に3年延長

◆事業承継税制
• 特例承継計画の提出期限が2年延長(令和8年3月31日まで)
※個人版事業承継税制も同様

<法人税 ・ 法人事業税>

◆賃上げ促進税制
•3年延長
•大企業は3%~7%の段階的な賃上げに応じたメリハリのある仕組みに
•中堅企業 従業者数 2000 人以下 を新設し 、 現行の大企業並みの減税に
•中小企業は 「 5年間の繰越控除措置 」 を新設し 、 赤字でも翌年以降に減税が可能に
•女性活躍 ・ 子育て支援に積極的な企業へ5%の上乗せ措置を創設
•教育訓練費の上乗せ措置の要件を緩和
•大企業と中堅企業は最大 35%、 中小企業は最大45%の控除率
ただし、 控除上限は法人税 × 20%で変更がない点に注意

◆中小企業事業再編投資損失準備金制度
•中小企業のM&Aについて最大 100 %損金算入可能に
•取崩しの開始タイミングを「 10 年後(現行:5年後)」に

◆戦略分野国内生産促進税制の創設
•対象:蓄電池 、 電気自動車 、 半導体などの投資
•方法:生産 ・ 販売量に応じた新たな減税を創設
•減税期間: 10 年以内
•税額控除:法人税額 × 40%半導体は 20%
•繰越控除:4年間 半導体は3年間 可能
•対象期間:令和8年度末まで

◆イノベーションボックス税制の創設
•対象:特許権 、 AI を活用したプログラムの著作権
※令和6年4月1日以後に取得等したもの
•対象所得:譲渡所得 、 ライセンス所得
•所得控除率: 30%
•対象期間:令和7年度~令和 13 年度
※これに伴い研究開発税制を見直し

◆暗号資産の時価評価
•法人 第三者 が継続的に保有する暗号資産を 「 時価評価の対象外 」 に

◆オープンイノベーション促進税制
•2年延長

◆交際費課税
•1人 5 000 円基準を 「 1万円 」 に
•接待飲食費の 50%まで損金算入特例と中小企業の年 800 万円まで損金算入できる特例を3年延長

◆外形標準課税の対象拡大
•資本金1億円超基準は維持し 、 次の2つの基準を追加
(1)減資への対応 令和7年度から
•「 前年度 」 に外形標準課税 「 対象 」 法人で 、 かつ 、 「 当年度 」 の資本金と資本剰余金の合計額が 10 億円超の法人は 、 外形標準課税の 「 対象 」
※「 改正前に対象外の法人 」 や 「 改正後に新設される法人 」 は 、 資本金1億円超基準に該当しない限り 「 対象外 」
※駆け込みで減資を行い回避する場合の措置を設ける
(2) 100 子法人等への対応 令和8年度から
•親:資本金と資本剰余金の合計額が 50 億円超子:資本金と資本剰余金の合計額が2億円超の場合、子(100 %子法人等)は外形標 準課税の「対象」
※一定のM&Aによるものは5年間 、 対象外にする特例あり
※対象となる場合も激変緩和措置あり

◆地方拠点強化税制
•見直しをした上で 、 2年延長

◆大法人の欠損金の繰戻し還付制度の不適用措置
•2年延長

◆中小企業倒産防止共済
•解約して再契約した場合 、 掛金を支出しても解約日から2年以内は損金算入が制限
•令和6年 10 月1日以後の解約から 適用

◆中小企業の 30 万円未満の少額減価償却資産特例
•2年延長
•e Tax で法人税の確定申告書等に記載すべきものとされる事項 を提供 しなければならない法人のうち常時使用従業員数 300 人超を除外

<消費税>

◆国境を越えたサービスの提供への消費税課税
•プラットフォーム課税を導入 取引高 50 億円超の事業者

◆高額特定資産の免税事業者 ・ 簡易課税の制限措置
•その課税期間に取得した金地金等の合計額が200 万円以上の場合を追加
※令和6年4月1日以後の課税仕入れ等から適用

◆外国人旅行者向け消費税免税制度
•免税購入された物品と知りながら行った課税仕入れを仕入税額控除の対象外に
※令和6年4月1日以後の課税仕入れから適用
※抜本的な見直し 出国時に税関で持出しが確認できた場合に免税販売が成立する制度 は令和7年度改正に先送り

◆仕入税額控除 帳簿のみ保存の特例
•自販機等は帳簿への 「 住所 」 の記載を不要に
※運用上 、 現行のものについても同様に記載がなくても改めて求めない

<納税環境整備>

◆納税環境整備については 、 主に次の改正が行われる 。
•法定調書の e Tax 等による提出義務基準を 30 枚以上に
•G ビズ ID との連携による e Tax の利便性の向上
•処分通知等の電子交付の拡充
•重加算税の対象に隠ぺい ・ 仮装による更正の請求書を追加
•税務代理権限証書等の様式の整備
•個人番号を利用した税理士の登録事務等の利便性の向上

<防衛増税>

大綱では開始時期の明言を避け、 「 適当な時期に必要な法制上の措置を
講ずる趣旨を令和6年度の税制改正に関する法律の附則において明らかにする 」 と記載された 。

災害見舞金の正しい税務処理 【法人税節税】

2018-03-02

Q31 地震で工場が全壊し、営業不能になった取引先に、当社として災害見舞金を出しました。この災害見舞金はどのよう処理してらいいでしょうか?

A31 一般的に法人が得意先、仕入先等社外の者の慶弔、禍福に際してお祝い金やお見舞金を支出した場合は、その費用は、接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものとして交際費等として取り扱われます。
 しかし、取引先に対する災害見舞金等については、その法人が被災前の取引関係を維持しようとしたり、取引関係を回復させることを目的として、災害発生後相当の期間(災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間)内に、その災害を受けた取引先に対して行った災害見舞金の支出又は事業用資産の供与若しくは役務の提供のために要した費用については、交際費等から除かれています。
 したがいまして、取引先の通常の営業活動を再開するための復旧過程において支出した災害見舞金は、交際費等には該当しません。

交際費と寄付金の違いは? 【法人税節税】

2018-02-23

Q28 交際費と寄付金の違いは?

A30 交際費等(接待費、機密費その他の費用を含む)とは、会社の得意先や仕入先など事業に関係ある者に対して行う接待や供応、慰安、贈答などのために支払う費用のことを言います。
寄附金とは、会社が行う金銭、物品その他経済的利益の贈与又は無償の供与をいいます。
一般的に寄附金、拠出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれます。
しかし、これらの名目で支払ったとしても、交際費等、広告宣伝費、福利厚生費などとされるものは寄附金には該当しません。
したがって、相手先に金銭や物品などを贈与した場合に、それが寄附金に該当するのかそれとも交際費等に該当するのかは、個々の実態をよく検討した上で判定する必要があるのです。
ただし、次のような事業に直接関係のない者に対する金銭贈与は、原則として寄附金になります。
1.社会事業団体、政治団体に対する拠金
2.神社の祭礼等の寄贈金

短期前払費用で節税できる要件 【法人税節税】

2017-12-20

Q25 今度、節税対策の為、税理士報酬や毎月出している求人広告料を年払いにしようとしていたのですが、調べて見ると等質・等量のサービスでは無いので受けられないと書いてありました。ただ、国税庁のHPで確認してみると上記の内容は書いては無いのですが、何か規定みたいのものがあるのですか?また契約の仕方等で短期前払費用にできるケースがあるのならば教えて下さい。

A25 短期前払費用は、法人税基本通達2-2-14に以下のように規定されております。
「前払費用(括弧書き省略)の額は当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。」
 御質問の税理士報酬や求人広告料もこの短期前払費用の通達の要件を満たしていれば、年払の費用として、支払った事業年度の損金算入が認められます。
 短期前払費用の要件を整理しますと、
(1)支払った金額はあくまで1年分に相当するものでであること。仮に何年分かまとめて支払った場合でも損金算入が認められるのは1年分だけで、残額は資産計上しなければいけません。
(2)今期限りではなく、来期以降も継続して年払いとしなければなりません。
(3)今までの契約が月払いになっているのであれば、年払に変更する必要があります。もし面倒であれば、相手方と「契約条件変更の覚書」のようなものを取り交わす必要があります。

ホームページの作成費用は何費? 【法人税節税】

2017-12-20

Q24 ホームページを作成しましたが、その費用はどのように取り扱われますか?

A24 ホームページの作成費用は、ホームページとして出来上がった作品の中にプログラムに該当する部分が含まれるか否かによって、その処理方法が変わってきます。
 ホームページの大半の認識としては、会社案内と同様なものが多く、その企業の情報や、その企業が扱っている商品、サービスの説明といったものがコンテンツになっていると思います。そのような場合は単にその企業の広告宣伝を行なっているにすぎませんので、たとえ金額が大きくなっても、広告宣伝費などとして全額一時の費用に計上することができます。
 一方、同じホームページといっても、中にはお客さんからの注文をそのページで受けることが出来たり、顧客データのデータベースが組み込まれているような高機能なホームページもあります。このようなシステムは取りも直さずソフトウェアですので、全額費用とすることはできません。資産に計上して減価償却をしていくことになります。
 ホームページ作成費用の中に両方が含まれているような場合は、納品書などでその金額を区分して処理していくことが必要です。

青色申告の特典を教えて下さい 【法人税節税】

2017-12-18

Q23 青色申告の特典を教えて下さい。

A23 青色申告には以下の様な特典があります。
 1.青色申告書を提出した事業年度に、赤字が生じた場合にはその赤字である欠損金を翌期以降7年間繰越せます。
 2.欠損金の繰戻しによる法人税額の還付を受けることができます。
 → 新設中小企業者法人の設立後5年間に生じた欠損金額等を除いて、現在停止中です。すなわち、新設後5年間(平成26年3月31日までに終了する各事業年度)は適用できます。
 3.帳簿書類の調査を行った場合に、還付すべき税金があった場合は更正を行うことができます。
 4.推計課税による更正を受けることはありません。帳簿書類調査による誤りがある場合のみ是正されます。

<租税特別措置法に規定する特典>
 5.固定資産について計上する減価償却計算を行う際、特別償却又は割増償却を行うことができます。また、法人税額の特別控除を受けることもできます。
 6.中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例。

青色申告を受けるための条件は何ですか 【法人税節税】

2017-12-18

Q22 青色申告を受けるための条件は何ですか

A22 青色申告を行う場合は、会社の本店を管轄する税務署へ「青色承認申請書」を提出します。
 原則として青色申告の承認を受けようとする事業年度開始の日の前日までに提出しなければなりません。
 新設法人の場合は設立の日以後3ヶ月を経過した日と設立後最初の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日までが提出期限となっています。
 この青色申告の特典を受けるためには、上記「青色申告の承認申請書」を期限内に提出し、法人税法上定められている各種帳簿書類を備え付けて作成し、取引を記録したものを一定期間保存しおかなければなりません。
 帳簿書類の例としては、複式簿記の原則に従って作成した総勘定元帳、売上、仕入、経費に関する記録帳簿をいいます。

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