ビットコインはまだ生まれたての通貨ということで、今後の普及の上で不透明な部分というのもいくつか存在します。
以下、原状想定されるビットコインのリスク、問題点というものをデメリットとして挙げています。
●システムがハッキングされる可能性
●取引所のリスク
●国の法律の適用が不透明
●システムがハッキングされる可能性
ビットコインの仕組みの項目で述べたように、ビットコインが通貨としての価値が認められているのは、「取引記録が誰にも改ざん・削除されずに保存され続けるシステム」上に存在しているからです。
逆にいうと、この根本の信頼性である「改ざんできない」という部分の常識がひっくり返ると通貨としての価値を失う可能性も存在します。
ただ、この点に関して個人的な意見を述べるなら、ビットコイン自体のシステムにおいては「ハッキングによって改ざんされる可能性は皆無に等しい」と考えています。
ビットコインを支える「ブロックチェーン」という技術が非常に優れており、発足してから今までにビットコイン自体が改ざんされたことはないというのも理由の一つです。
取引所のリスク
ビットコイン自体のシステムがハッキングをうけたことはありませんが、ビットコインをやり取りする取引所がハッキングによって、ビットコインを抜き取られるケースや、取引所が破綻してビットコインを引き出せなくなるというケースが存在しています。
ビットコインは個人間でのやり取りも可能ですが、より多くの金額をやり取りする場合や、投機などで頻繁に取引を行う場合には、買い手と売り手をマッチングするために、取引所を介して取引するのが一般的です。
取引所を介する場合、一時的にビットコインを取引所の口座に預けておく必要があります。
その取引所に預けていたビットコインが狙われるという事件がいくつか発生した事例があります。
日本で一番有名な事件が「マウントゴックス騒動」です。
以下、マウントゴックス事件に関して詳しく説明していきます。
マウントゴックス騒動について
2014年の2月にマウントゴックス社が破綻したというニュースが報道されました。
インターネット上の仮想通貨ビットコインの取引所「マウントゴックス」を運営するMTGOX(東京・渋谷)が28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、同日受理されたと発表した。債務が資産を上回る債務超過に陥っていた。顧客が保有する75万ビットコインのほか、購入用の預かり金も最大28億円程度消失していたことが判明した。
MTGOXのマルク・カルプレス社長は28日夕の記者会見で「ビットコインがなくなってしまい、本当に申し訳ない」と謝罪した。消失したのは顧客分75万ビットコインと自社保有分10万ビットコイン。金額にして「114億円程度」としているが、他の取引所の直近の取引価格(1ビットコイン=550ドル前後)で計算すると、470億円前後になる。
民事再生法の申請に至った理由は、「ビットコイン」と「預かり金」の消失で負債が急増したため。2月初旬、システムの不具合(バグ)を悪用した不正アクセスが発生し、売買が完了しない取引が急増。「バグの悪用により(ビットコインが)盗まれた可能性が高い」と判断した。
引用元:日本経済新聞ニュース
このニュースで大きく報道されたのが以下2点です。
顧客が預けていたビットコインが消失して、莫大な損失が発生した。
システムのバグを利用した不正アクセス(ハッキング)によって盗まれた。
上記の報道によって、
「ビットコインは簡単に消失する危険がある怪しい通貨」
「ハッキングに脅かされる信用出来ない脆弱な通貨」
という印象を持ってしまった人が多いようです。
しかし、ビットコインの通貨自体が信用のおけない危ない通貨という考え方は誤りです。
その理由は2つあります。
一つは、この騒動の原因となっているものが、ビットコイン自体のシステムに問題があったわけではなく、マウントゴックス社という1取引所の問題であるという点です。
ビットコインのやり取りをしている取引所の一つであるマウントゴックス内のシステムにおいて、システムの不備があってビットコインが消失したということです。
なので、ビットコイン自体がハッキングなどで盗まれる危険なもの、通貨として信用ならないものという考えは間違っています。
例えば、同じような構造であるFXの取引所でいうと、一つの取引所が倒産してしまったというような状況ですが、それで日本円が信用できないということはないかと思います。
もう一つの理由としては、最近のニュースでは、マウントゴックス騒動の真相はCEOのマルク・カルプレスが横領したことが理由だといわれている点です。
警視庁は「ビットコイン」取引所であるマウントゴックスのマルク・カルプレス社長(フランス国籍)を再逮捕したと発表した。
逮捕容疑は、マウントゴックスが債務超過であった2013年9月下旬〜12月下旬に、利用者からの預かり金や会社の資金、合計2000万円を自分の口座に送金して着服した業務上横領だ。
着服した資金は、生活費や派遣型風俗で出会った複数の女性に使っていたという。
警視庁によると、マルク・カルプレス社長は、送金したことは認めたが「送金したことは間違いないが、顧客の金を使った覚えはない」と容疑を否認している。
引用元:デジタル通貨ニュース
この事件の原因はある1人の経営者による不正である可能性が高く、ビットコインだからというわけではないといえます。
このことから、ビットコイン自体がおかしいという論調は見直されています。
ただ、このマウントゴックスの騒動より言えることとしては
原状のビットコイン取引所は駆け出しの会社が多く、信用性に欠ける
ということです。
FXなどの取引所に関しては、不正な取引所、財政面で不安な取引所を取り締まる法律が確立していますが、ビットコインの取引所に関しては特に規制はなく、あやしい取引所も存在していたりするので、その点は注意が必要です。
この取引所のリスクは、次の「法律のリスク」にも関わってきます。
●国の法律の適用が不透明
ビットコインはまだ出来たばかりの通貨ということで、世界各国の法規制が追いついていません。
ビットコインを推進するために、ビットコインに関して流通しやすいように法律を制定しようと動いている国もあれば、ビットコインの取引自体を禁止しようとする国も存在します。
●日本における法整備の原状
日本が今後仮想通貨へどういう対応を示していくのかという姿勢として、2016年の3月4日に、「仮想通貨を財産的価値と定義する」旨の法案が閣議決定されたというニュースがでました。
●仮想通貨「モノ」から「カネ」へ 政府が法規制案を閣議決定 ビットコインで機運
「ビットコイン」などインターネット上の仮想通貨が、法規制で事実上のカネと定義される見通しとなった。決済に使える「財産的価値」と認定され、金融庁が 取引状況の監視に乗り出す。今まで単なるモノとみなされ、規制も監督官庁もないことから信頼が低かった仮想通貨だが、健全な利用拡大に向けて動き出すこと になった。
国会提出法案の名称は「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」
そして、この法律案は2016年5月25日の参院本会議で、可決されました。
2017年4月1日に上記法案が施行されました。
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