海外に住むことに。これからは? 【仮想通貨】

海外に住むことに。これからは? 【仮想通貨】

2018-04-20

Q35 今年から、シンガポールに住むことになりました。この場合、今までの取り引きについての納税はどうなるでしょうか?また、これからの取り引きについてはどうなりますか?

A35 海外転出届を忘れずに行い、現地の税制を理解しましょう

節税意識が高い方の中には、海外に移住するという選択肢をもっている方もいるかと思います。
この質問は、このように節税のために海外に移住する、ということを選択した場合に関する税務に関するものです。
ここでの前提は、日本国の居住者ではなくなっている、ということになります。

国内法による取り扱い
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。

「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。

したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。

ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、職務内容や契約等を基に「住所の推定」を行うことになります。

「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。

法人については、本店所在地がどこにあるかにより、内国法人または外国法人の判定が行われます。

現地での取り扱い
シンガポールの個人所得税は最大税率で22%ですが、キャピタルゲインに関して非課税となっています。

なお、課税対象となる所得の範囲ですが、全世界の所得課税を採用する日本とは異なり、シンガポール国外で生じた国外源泉所得はシンガポールに送金されない限り非課税とされますので、仮想通貨に関する所得も同様に扱われると考えます。

例えば、シンガポールに居住し、Kraken、bitflyerやZaifなどの日本の取引所で仮想通貨取り引きを行い、利得を得た後に日本国内の自己の銀行口座に出金した場合、
日本においての当該金額に関する利息については課税、シンガポールおよび日本においての当該利得の総額について非課税ということになります。

なお、シンガポール国内において、物品などの購入の支払いに仮想通貨を使用した場合、物品税(Goods and Services Tax、GST)として、7%が課されます。
また仮想通貨の取り引きを事業(Business)として行う場合には、通常の課税に服します。
取引所やマイニングファームなどがその典型となります。

なお、日本からの出国に際しては、海外転出届を住民登録窓口に提出(=住民票を抜く)しておく必要があります。
これを行わずに、実質的に日本国の非居住者となっていても後日それを証明することは煩雑ですし、また住民税は1月1日現在の住民票の所在地を基準に賦課されていますので、海外転出届を忘れずに行う必要があります。

なお、出国日までの所得については、日本で納税を行う必要があります。

 

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